IFRS対応、グループ経営管理の高度化を支える連結会計ソリューション
ISIDでは、会計基準の国際化、決算早期化、内部統制など、さまざまな課題を抱える経理業務関係者の方々のために、その課題解決の一助となるように、本メールマガジンを発行しております。
すでに監査法人やコンサルティング会社からも色々なメールマガジンが発行されておりますが、弊社のメールマガジンは、抽象的教科書的なものではなく、実務目線での情報提供を基本にします。どうぞお役立てください。
目次
あけましておめでとうございます。
『ISID 経理財務メールマガジン』は今年もIFRSに関するトピックを中心として、実務家の皆様に有用な情報を提供すべくコンサルタント一同がんばりますので変わらぬご愛読のほどお願い申し上げます。
さて、2011年ですがIFRS対応を考える上でどのような年になるのでしょうか。
来年2012年はIFRS適用に関する金融庁判断が示されることが予定されており、日本におけるIFRS対応の気運が一気に高まっていくことが予想されます。
そのときのイメージとしては、ちょっと対応の遅れた会社はあわててプロジェクトを立ち上げ、一方で先行企業を中心として、日本における論点の集約とその対応のための慣行や解釈も出来つつあり、IFRS対応のシステムも出回り始める、といったところでしょうか。
そのような大きなイベントの前年ということで、何をやるにしても方針を立てづらい年といえるかもしれませんが、IFRSの主要基準の公表等今後のIFRS対応を方向付ける重要なイベントが予定されています。
<今年予定されている主なイベント>
(IASB関連)
これらをごく大雑把に捉えるとこのように言えるでしょう。
IFRSの「こうなるかもしれない」が「こうしなければならない」に変わります。
それを受け、日本の会計基準も着々と追随していきます。
先行適用の事例が増え、米国等海外の方向性も固まっていきます。
そして、この流れを受けて来年の金融庁判断とつながっていきます。
なるべく先手を取って有利にIFRS対応を進めたいと考える企業にとっては今年こそが正念場とも言えるかもしれません。
担当:桑原正博( ISIDコンサルタント )
こんにちは、公認会計士の中田です。
このコーナーでは、私の著書である『わかった気になるIFRS』の巻末に紹介している『IFRS質問箱』に実際に投稿された質問とその回答を中心にコラムを作成します。また、今後このメルマガ読者の皆さんからいただいた疑問点や、ISIDのコンサルタントがお客様からいただいたご質問なども交えてご紹介していく予定です。
学習レベルにはバラツキがあり、いろんな部署の方からのご質問があります。これまでみなさんが持たれた疑問と比べることも、意味があるはずです。また、これまでどこにも公表されていない貴重なQ&Aですので、どうぞご期待ください。
今回は、IFRSを適用する企業側のメリットについてのご質問を取り上げます。
IFRSの導入は投資家にとってメリットがあるといわれています。
上場企業である以上、投資家への対応が重要であることは理解していますが、IFRSを適用する企業側のメリットはあるのでしょうか?
EUでのIFRS適用時には全体として企業の株式時価総額が上がったといわれてい
ます。したがって、まずは、日本企業全体にメリットがあると思います。
次に、個々の企業レベルでは、以下のようなメリットが考えられます。
1.これまで気づかなかった観点を、IFRSから学び経営に取込む。
例えば、IFRSの基本的な考え方は「資産・負債アプローチ」であり特に「資産」は「将来の収入に役立つもの」という考え方です。従来の日本の経営は、資産は「過去いくらで買ったものか」という観点が強かったと思います。
そして、購入後どれだけ役に立つかという観点は、あまりなかったでしょう。
したがって、購入の際には詳細な情報を添付して稟議書を作成し、おびただしい承認印をもらって、購入する手続きが必要な反面、購入後は、粛々と税務上の減価償却をするだけで、定期的に、どれだけ役に立つのか、また購入時に稟議書で見積もった使用年数通りに利用できているのか、といったことをサーチしている企業はほとんどないでしょう。
資産の効果的かつ効率的な利用は、経営者の最も重要な責任であるのに、これまでほとんどきちんと把握されていなかったのではないでしょうか。
2.財務報告を義務ではなく、会社のアピールの場(殆どコストをかけない宣伝)と考える。
欧米企業の開示内容を見ていると同じ業界なのに注記の内容はばらばらです。
例えば、自動車産業の5〜6社の「減損テスト」に関する開示を見ると、毎期末に一度だけ実施している企業もあれば、期中に随時何度も実施している企業もあります。
考えてみると「減損テスト」は本来、「会計マター」ではなく「経営マター」のはずです。当初の収益見込みがはずれたことが察知されると、当初の生産・販売計画を見直し、必要があれば撤退や縮小を検討し、その上で、投資が回収できない金額をタイムリーに把握することは、経営者の責任であり義務だからです。
IFRSでは、毎期末に一度、減損の兆候の有無を評価し、「減損テスト」を実施することを原則にしています。しかし、企業によって、一度ならず、「随時実施」していることを開示することは、経営者が適切な経営責任を遂行していることをアピールしているように思えます。日本ではおよそ期待できそうにありません。日本では、開示は最低限の対応を基本とし、義務としか捕らえていないからだと思われます。
今後、決算発表や有価証券報告書での注記による開示は、経営がまともな活動を行っていることをアピールするチャンスだと捉えないと、せっかくのチャンスを自ら潰すことにもなるでしょう。
このコーナーでは読者のみなさまからのご質問を受け付けています。
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