IFRS対応、グループ経営管理の高度化を支える連結会計ソリューション
ISIDでは、会計基準の国際化、決算早期化、内部統制など、さまざまな課題を抱える経理業務関係者の方々のために、その課題解決の一助となるように、本メールマガジンを発行しております。
すでに監査法人やコンサルティング会社からも色々なメールマガジンが発行されておりますが、弊社のメールマガジンは、抽象的教科書的なものではなく、実務目線での情報提供を基本にします。どうぞお役立てください。
目次
連結決算を開示しているほとんどの会社が何らかの管理連結に取り組んでいるようです。
管理連結の方法は制度連結と異なり各社各様ですが、製造業でよく目にするのが、開示セグメントよりさらに詳細なレベルで組織あるいは製品等の業績を管理していこうというものです。
親会社単体では、製品別の利益管理を行っているのは一般的ですが、単体のみでは不十分で連結ベースの数値を見ないと本当の収益はわからないという必然的な経営上のニーズからきています。
特に昨今で増えている海外の工場で製造して、海外で販売するというスタイルから考えると、ますます連結ベースでの製品利益管理が重要になります。
言うまでもありませんが、A国A社で作ったものがB国B社の在庫のままでは、売上を計上したとみなさないということを製品別に見ていこうということです。
連結製品別管理を実施にあたり壁となるのが、グループ各社ごとの会計システムの製品別利益管理内容が統一していない場合です。 そもそも子会社によっては製品別管理ができていない場合もあります。買収した会社の場合だと製品カテゴリーの分類方法が異なるということもあります。
連結の基本は各社の数値を集計することにありますから、各社の製品別利益管理を統一することから、連結製品別管理が始まります。
そのためには、やはり、グループ共通のERPを導入するのが望ましいということになります。
ただ、それには時間と費用と労力を要することなので、既存の各社の会計インフラはなるべく手を加えずに取り組むことが、現実的な方法になります。個別会計システムのデータとグループでの製品カテゴリーの対応表
を作成し、データが不足しているところは、システム外で把握するというよう
な対応になると思います。
とは言うもののシステム外での把握は、子会社にとっては負担で、重要性の低い会社や製品においては按分により、製品別数値を作成するという手法を取ることもあります。
次のステップとして、グループ内取引の数値を消去することになります。
制度のように正確な消去を行う必要はないので簡便的消去を検討するのですが、何を、どのように、消去するのかということが課題になります。
よく見られる例として売上高をグループ内・外でデータを収集し(各社明細は収集せず)グループ内を消去する方法です。連結製品別管理でセグメント内・間の区分は不要で、外部売上を把握できれば充分です。
それから、未実現利益消去についてどうするか検討しますが、グループ仕入在庫を把握できない、手間がかかる場合は、消去を見送るケースが多いように思います。
さて、連結製品別管理は、制度連結とは別の視点が要求されることからその実施ハードルは高いのですが、海外の比重が今後高まることが予想され、それに伴い連結製品別管理のニーズが強くなることに鑑み、
弊社が提供するSTRAVISでは、まもなくリリースするVer4.4で製品別管理機能を強化しました。
連結製品別管理の運用負荷を減らすことを主眼に置いておりますので、ぜひ、経営管理のためにご活用いただきたいと思います。
◇ 担当:本池浩( ISIDコンサルタント )
こんにちは、公認会計士の中田です。
このコーナーでは毎回、経理・財務にかかわる最近のニュースや記事などから特に気になる話題をピックアップしていきます。
よくある、無味乾燥なトピックの紹介ではなく、私見も交えて取り上げていきますので、どうぞご期待ください。
現在日本ではIFRSを適用すべきかどうかなどについて、議論が振り出しに戻り先が読みにくい状況になっています。
IFRS「国際財務報告基準」は、従来IAS「国際会計基準」と言われていたものについて、名称が変わってきたものです。
わざわざ「会計」基準から「財務報告」基準に名称を変更したのは伊達ではありません。きちんとした意味があったのです。
この名称の変更には、基準が「財務諸表」を作成・表示するためのものから、注記などの開示を含む「財務報告」のためのものであることを適切に表す意図があったのです。
つまり決算・開示の世界は、「財務諸表」から「財務報告」に変化したと言えます。ここには、利用者の意思決定に有用なのは、財務諸表基本3表に偏重しないで、
注記などの情報も同じくらい、あるいは基本3表よりも有用な場合もあるくらいの意味があると思います。
ところが、日本がこのIFRSの適用について延々と議論(小田原評定?)を重ねている間に、世界はさらに変化しているのです。
それは、「統合報告」と言われるものへの変化です。
すなわち世界は、「財務諸表」から「財務報告」へ、さらに「財務報告」から「統合報告」へと変化しようとしているのです。
最近「企業会計」や「経営財務」などの経理情報誌でも取り上げられることが多くなってきました。
「会計・監査ジャーナル」でも2月号で取り上げられています。
「経営財務」では、6月から連載を開始するようです。
ところで、IFRSも実は2000年頃にも取り上げられてはいたのですが、当時以降の日本では、会計ビッグバンや内部統制への対応で、IFRSへの関心は低く、
2009年あたりからあわてて情報収集をするはめになりましたが、この「統合報告」についても同じ轍を踏まないように、今から理解しておくことは、有意義だと思います。
統合報告の特徴は以下です。
(1)「非財務情報」を重視していること
(2)「非財務情報」と「財務情報」に関連性を持たせること
(3)財務報告の開示情報、特に注記が膨大であることに重大な懸念をもっていること
(4)ステークホルダーとのコミュニケーションの充実を重視していること
「統合報告」についてはすでにパイロット・テストの段階になっていて、参加している日本企業もあります。
また国際統合報告委員会(IIRC)には、東京証券取引所や日本公認会計士協会も参画しています。
すでに東京証券取引所が導入している「業績予想の自由化」は、この「統合報告」の動きと無関係ではないと、私は考えています。
公認会計士 中田清穂氏のホームページ
http://www.knowledge-nw.co.jp/
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