IFRS対応、グループ経営管理の高度化を支える連結会計ソリューション
ISIDでは、会計基準の国際化、決算早期化、内部統制など、さまざまな課題を抱える経理業務関係者の方々のために、その課題解決の一助となるように、本メールマガジンを発行しております。
すでに監査法人やコンサルティング会社からも色々なメールマガジンが発行されておりますが、弊社のメールマガジンは、抽象的教科書的なものではなく、実務目線での情報提供を基本にします。どうぞお役立てください。
目次
現在の日本社会が直面するテーマとして、「人口減少問題」、「労働力人口の減少」、そして「大介護時代」の到来と云われ、慢性的な人材不足に比例して経理財務部門の作業負荷の高い環境は、経営層向け経営管理システムの活用により解決することで、企業価値を高める糸口になるのでは無いかと考えています。
私がこれまで関わってきたプロジェクトは、企業の経理財務部門担当者と関わることが多いですが、その就労時間は、(筆者の偏見かもしれませんが)他部署と比較しても平均的に作業負荷が高いと云われ、深夜帰宅も当然といった風潮が今も残っていると思います。
経理財務部門は、財務連結報告からIFRS対応、業績分析、さらには予測シミュレーション、経営層からの急な業績レポートの作成対応と幅広い業務内容をこなさなければならず、仕事量が増えていることは確かです。
一方で、日本の企業内では、中小企業問わず平均年齢の高齢化、経験習熟者の退職、新入社員の枯渇、といった慢性的な人材不足であることも明らかです。
先日、ワークライフに関連する企業セミナーで得た情報として、日本の労働を支える生産年齢人口は、2000年の約800万人をピークに、2015年現在で約700万人、20年後の2035年は600万人を下回ると云われており、日本社会は、間違いなく、人材不足が深刻化すると考えられます。
そういった中で、企業においては、経理財務部門の力を効率的に活用する解決策が必要となってきています。経営層が安心する経営環境、すなわち、経営層へリアルタイムに経営情報(実績、見通し)を提供しつつ、経理財務部門の作業負荷を低減し、余裕ある職場環境の提供するといったテーマを達成する手段としてです。
解決策の一つに、経営層向けに経営情報(財務情報、推移分析、業績分析、予測)を一元管理し、可視化して、即時に必要なデータをExcel等でレポーティング報告するツール(経営管理ソリューション)を活用する方法があります。
しかし、システム構築となると、投資費用だけでなく、リソースや時間を相応に費やす必要が出てきます。それだけの価値はありますが、相対効果の観点から、投資の決断が難しいケースも出てきます。
そこで最近注目を浴びているのが、経営管理ソリューションのクラウド(Saas)によるトライアル活用案です。例として、最少期間(1-3カ月程度)で現状業務の置き換えベースでパイロット導入を行い、リソースを最少体制でシステム構築を行い、スモールスタート、システム評価を行う方法です。
あわせて経営層へは、PC端末ではなく、スマートフォンやタブレット端末の提供によりレポーティングシステムの提供を行うことで、導入効果を享受します。もちろんタブレット端末利用時は、端末に重要情報を残さず、セキュアに行える仮想デスクトップソリューションによるシステム環境の構築が重要です。
ここまでを振り返り、経理財務部門のワークライフバランス構築に効果的な解決策を、キーワードからご説明します。
経理財務部門では、上記1から3の環境を整えることで、業務量への余裕から、他の業務への配分転換や注力業務に集中することができます。作業負荷の軽減だけでなく、効率的の業務配分ができるようになります。
日本社会が間違いなく直面する人口減少・生産と労働人口不足は、ワークライフバランスが実現可能な企業環境と、社員それぞれの考え方を変えるべき時代が来ています。
まずは、少し面倒な作業を無くすために、経営層から何度も依頼される報告資料の作成手間を減らしてみませんか。
また、今から経理管理ソリューションを利用して、作業負荷の軽減と現場改善・効率化を検討してみては如何でしょうか。
少ない投資で実現できるクラウドから、まずは始めてみるのも良いでしょう。
クラウドの経営管理ソリューションが、あなたの仕事のスタイルを変えるだけでなく、経理財務部門の変革、ワークライフスタイルの改革につながり、企業価値を高めてくれるかもしれません。
◇ 担当:市川 和弘(ISID/コンサルタント)
こんにちは、公認会計士の中田です。
このコーナーでは毎回、経理・財務にかかわる最近のニュースや記事などから特に気になる話題をピックアップしていきます。
よくある、無味乾燥なトピックの紹介ではなく、私見も交えて取り上げていきますので、どうぞご期待ください。
最近、LIXILや江守グループホールディングスなど、中国の子会社や関連会社での重大な不正会計問題が発生し、私の関心が高まっています。
さて、人が不正行為を実際に行うに至る仕組みについてよく知られているのが、「不正のトライアングル」理論です。
米国の犯罪学者であるD.R.クレッシーが実際の犯罪者を調査して導き出した理論です。
「不正のトライアングル」理論によると、不正行為は 1..機会、2.動機、3.正当化という3つの不正リスク要素がすべてそろった時に発生するとされています。
1.の「機会」とは、不正行為を実行できたり、実行しやすくする客観的な環境のことです。不正行為をいつでもできるような作業環境のことです。
2.の「動機」とは、不正行為を実行したくなる主観的な事情のことです。自分の欲望や困難を解決するためには、不正行為を実行するほかないと思い詰めるに至った心情のことです。
3.の「正当化」とは、不正行為の実行を意識的に自分で認めようとする主観的な事情のことです。自分に都合の良い理由をでっちあげて、「後ろめたさ」を薄めることです。
これを、最近の中国子会社の不正事案からわかってきた内容をあてはめて、具体的にしてみるとよくわかります。
日本でもありうる話ではありますが、その確率は、日本よりかなり高いようです。
不正行為の発生は、3つの要素が全て揃ったときであることが前提であれば、3つのうち一つにでも対応できれば、防げるということですね。
例えば、「もう不正するしかない」という動機にある現地社員に対して、コミュニケーションを深めて、悩みを良く聞き、相談に乗ることで、その社員が落着き、適切な判断ができるようになるだけで、「動機」がなくなり、不正は発生しないということですね。
内部統制にばかり気を取られるのも注意が必要だと感じます。
中国は日本と異なる事情が多々あるようですが、良く耳にする一般的な知識ではなく、何が異なっているのかを、個別具体的にきちんと把握して、適切な対応をしていくことが重要だと思います。
このコーナーでは読者のみなさまからのご質問を受け付けています。
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