IFRS対応、グループ経営管理の高度化を支える連結会計ソリューション
ISIDでは、会計基準の国際化、決算早期化、内部統制など、さまざまな課題を抱える経理業務関係者の方々のために、その課題解決の一助となるように、本メールマガジンを発行しております。
すでに監査法人やコンサルティング会社からも色々なメールマガジンが発行されておりますが、弊社のメールマガジンは、抽象的教科書的なものではなく、実務目線での情報提供を基本にします。どうぞお役立てください。
目次
昨今「IoT(Internet of Things:モノのインターネット)」という言葉がもてはやされ、バズワード(流行語)となっています。経理業務と直接関係がないとの印象を受ける方が多いと思いますが、「IoT」と「基幹システム」という切り口であらためて関係性を見てみたいと思います。
諸説ありますが「ハードウェア(センサーなど)がネットワークに接続され、ソフトウェアと組み合った状態になること」というのが「IoT」の一般的な定義となっています。
「工場のセンサー」をはじめ、変わったところでは「体重計」や「赤ちゃんのおしゃぶり」といったモノまで、インターネットに繋がるような時代になってきました。大雑把に言うと「(データを)取る」「(データを)貯める」「(データを)分析する」ということが「IoT」のキモとなります。
IDCの調査では、2020年にIoTの世界市場規模は17,000億ドル(210兆円)と推定されており、現在の約3倍の規模に達する見込みです。また、接続されるデバイス数も295億個に達すると見込まれており、今では想像していないようなモノまでインターネットに接続される未来が待っています。
また製造業では「Industrie4.0」というキーワードもよく耳にするようになりましたが、こちらは対象が「自社(工場)」のデータという点を除いては、技術要素としては「IoT」とほぼ同様の概念です。本稿では詳細割愛しますが、「Industrie4.0」を理解する上では「デジタル・ツイン」「サイバーフィジカルシステム」といったコンセプトが重要です。
「IoT」が普及した背景に、以下の3つが考えられています。
確かに、今ではスマートフォンでメール・インターネット・SNSをするのは当たり前となっていますし、数年前からは企業でのクラウド活用も積極的に使われるようになってきました。
「IoT」では以下3つのことができるようになると言われています。
これだけではイメージがつかないと思いますので、もう少し具体的な例を見てみましょう。
ガートナーによると「IoT」で得られるバリューとして、4つのバリューを定義しています。
この中で非常に興味深いのは【バリュー2】の「課金(Charge)」です。
有名な事例として、GE(ゼネラル・エレクトリック社)による「エンジン」の事例を紹介します。
この事例では、エンジンのセンサーからリアルタイムにデータを取得・活用することにより、メンテナンス最適化(故障予測からの最適な時期のメンテナンス・部品在庫の最適化)を実現しただけではなく、エンジンを使用した時間に対して課金するようにビジネスモデルが変革しました。
「モノ(エンジン)の販売」から「サービス(利用時間課金)の販売」へシフトしたことで、顧客が大きな資産(モノ)を購入せずに、費用(サービス)として利用できるようになったことは革新的です。
また、【バリュー4】の「拡張(Extend)」も興味深いポイントとなります。
先のGEの事例では、収集したデータを分析することで飛行方法と燃費に関する気付きを得て、コンサルティングサービスとして提供することで「ビジネス領域の拡大」に成功しています。航空機では、数%の燃料節約がかなりのコストダウンに繋がるという結果が出ており、GEの顧客も恩恵を受けています。
「IoT」と「基幹システム」は、一見すると関係ないように見えますが、それぞれのシステムが接続される事例も出てきました。
主な業務領域としては「アフターサービス」「在庫・購買管理」となります。会計領域と直接連携されるケースは現時点では稀ですが、ロジスティクス領域と「IoT」が繋がることにより、間接的に会計と繋がることを実感頂けたのではないでしょうか。
駆け足でしたが、「IoT」のポイント、「基幹システム」との関係についてご理解いただけたでしょうか。
これから「IoT」の活用がますます進み、貴社のビジネスモデルも変革していくかもしれません。「IoT」と「基幹システム」との関係も、密接に関わるようになり、業務もより効率化されることが期待されます。
◇ 担当:通山 拓馬(ISID/コンサルタント)
こんにちは、公認会計士の中田です。
このコーナーでは毎回、経理・財務にかかわる最近のニュースや記事などから特に気になる話題をピックアップしていきます。
よくある、無味乾燥なトピックの紹介ではなく、私見も交えて取り上げていきますので、どうぞご期待ください。
経済産業省経済産業政策局企業会計室が、2015年10月に作成した資料「企業会計制度をめぐる動向」によれば、インドでは、今年2016年4月に始まる年度から新しい会計基準(Ind
AS)が、段階的に強制適用となります。
まずは、すべての企業ではなく、純資産50億ルピー以上の企業が、2016年4月スタートの対象です。
1ルピーはおよそ1.8円ですから、50億ルピーはおよそ90億円です。
純資産が50億ルピー未満でも、上場しているか上場過程の企業は、1年遅れの2017年4月に始まる年度から強制適用となります。さらに、純資産が25億ルピー以上ある企業は、上場していなくても2017年4月に始まる年度から強制適用となります。
新しい会計基準(Ind
AS)は、そのほとんどがIFRSにコンバージェンスされたものです。しかし、一部ピュアIFRSとは異なる内容があるために、IFRSを強制適用している国としては扱われません。
デロイトの"IAS Plus"によれば、IASB議長ハンス・フーガーホースト氏は、インドのIFRSに関する進展を「見事な達成(impressive
achievements)」と呼び、「新しいInd ASは、IFRS適用への道における大変重要な足掛りと考えられる」とコメントした。とあります。
しかし、そのコメントに続いて、以下のコメントも紹介されています。
「同時に、我々は、新しいInd
ASはIFRSと同じではないということを認識しなければならない。現在の提案は、1点の主要な相違といくつかの些細な相違を含んでいる。完全なIFRSとの最終的な相違が小さくなる結果となっても、国際的な認識の観点から、この影響は大きい。」
つまり、新しいInd ASは、日本の修正国際基準(JMIS)にとてもよく似ている内容であることが感じられますね。
一方のインドでは、IFRSに限りなく近い会計基準を、非上場の企業にも強制適用することにしました。他方の日本では、IFRSに限りなく近い会計基準を作成したものの、ほとんど誰も使わない状況です。
このような事実が、各企業の活動だけでなく、国の経済に及ぼす影響を考えることは、意味のあることだろうと思います。
最近、信用調査をする企業や部門から、会計基準が異なる状況での財務分析に基づく与信管理に与える影響について、講演や相談を受けるようになりました。
シンプルではない状況では、活動する企業自体が混乱しますが、その反面コンサルタントの仕事は増えそうですね。
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