IFRS対応、グループ経営管理の高度化を支える連結会計ソリューション
ISIDでは、会計基準の国際化、決算早期化、内部統制など、さまざまな課題を抱える経理業務関係者の方々のために、その課題解決の一助となるように、本メールマガジンを発行しております。
すでに監査法人やコンサルティング会社からも色々なメールマガジンが発行されておりますが、弊社のメールマガジンは、抽象的教科書的なものではなく、実務目線での情報提供を基本にします。どうぞお役立てください。
目次
BIツールを活用する企業が徐々に増えてきているように感じます。
BIは「Business
Intelligence」の略称であり、一般にBIツールとは、システムに保管されている膨大なデータの中から必要なデータを検索したり、特定の形式でレポートにまとめたり、多軸分析等を行ない、経営判断や営業活動を支援するツールのことです。
先日もSTRAVISユーザ様から、新たにBIツールを活用したいとのご相談を受けてきました。今回はこのBIツールと連結会計システムの活用方法について、ご紹介いたします。
連結会計システムにおいても帳票ツールや分析機能があり、BIツールのように比較的自由なレイアウトでレポートを出力したり、多軸分析を行うことができます。しかし、一方で制約があるのも事実です。
例えば、
・連結会計システムをパソコンにインストールしなければならない。
・連結会計システムの使い方を覚えなければならない。
・連結会計システムのデータしか閲覧できない。
ということが挙げられます。
特に「連結会計システムのデータしか閲覧できない」というのは致命的であり、企業の内部に点在している営業所のデータや人事データなどと組み合わせて分析するということは不可能なのです。
それでは、BIツールを使うことでどのような利点があるのでしょうか。
結論から申し上げますと、連結会計システムの弱い部分を補足して、さらにBIツール独自の便利な機能を使っていくことができます。
BIツールを使った場合、
・分析に特化した操作性の画面で分析ができる。
・タブレットやWEBブラウザで使用することができる。
・他のシステムのデータと組み合わせた分析ができる。
・連結会計システムの仕様を変えずにレポートを最適化できる。
このような利点があります。
ここで特筆すべきは最後の「連結会計システムの仕様を変えずにレポートを最適化できる」ところです。
例えば、連結会計システムの中で制度連結(財務会計)と管理連結(管理会計)の仕組みを構築している場合、両者の担当部署が異なることから、同じ「売上マスタ」でも勘定科目コードが異なることがあります。
これを比較しやすいように一致したコードに修正するためには、連結会計システムの中身を変えなければなりません。しかも「売上マスタ」については、自動仕訳ロジックや過去データとの関連などを考慮する必要があるので、容易ではありません。
ここでBIツールがあると、連結会計システムからBIツールにデータを連携する際にマスタコードの変換ができますので、連結会計システムの中身を変えずに対応することができ、この組替ロジックの構築は前述の修正作業に比べ非常に簡単です。
このように、連結会計システムの仕組みに依存せずに、BIツール側の方で対応できるというのは最大の利点であると言えるでしょう。
様々なBIツールが各社からリリースされていますが、弊社ではSPECTRE(スペクトル)という製品がございます。
ご興味ある方は、営業担当に一度ご相談いただければと思います。
◇ 担当:寺村 航(ISID/公認会計士)
こんにちは、公認会計士の中田です。
このコーナーでは毎回、経理・財務にかかわる最近のニュースや記事などから特に気になる話題をピックアップしていきます。
よくある、無味乾燥なトピックの紹介ではなく、私見も交えて取り上げていきますので、どうぞご期待ください。
日本の会計実務では、建物を除き、多くの有形固定資産の減価償却方法として、定率法が採用されています。
定率法が採用されている理由としては、以下の二つが主なものになると思います。
(1)資産を取得した初期に多額の費用計上ができることから、資産取得直後の税負担を減らすことができる。
(2)資産を取得した直後がもっとも利用度が高く(トップ・ヘビー)、年を経るにしたがって利用度が低くなる実態と合っている。
(2)の理由の場合には、実態と合っているので、あまり問題はないように思います。ただ、利用度に焦点を当てて検討するならば、生産高比例法の方が、より理論的のようにも思います。
問題なのは、“(1)のみ”の理由による定率法の採用です。
言い換えれば、年を経ても利用度が低くなるわけでもないのに、税務メリットを生かすためだけに定率法を採用することには、“経営上の”問題があるように思います。
実態と合わない会計処理を行っているからです。
実態と合わない会計処理の結果、作成される財務諸表は当然、その企業の実態を表さなくなります。
制度会計には準拠しているので、「正しい」と経理部門が提出した財務情報で経営判断をしている企業経営者や事業部責任者は多いと思います。
しかしその財務情報が、どれほどきちんと制度会計に準拠して作成されていても、企業の実態と合わない内容であるならば、間違った経営判断や事業決定を行うことになりかねません。
例えば、激しい競争にさらされている市場に新しい製品を出すために、新規に購入した製造設備があったとします。
この製造設備に対して、定率法で減価償却を行うと、購入初年度に最も多額の費用が計上されます。当然、この費用は製造原価を構成します。
売価は、必要な粗利率を乗せて決定されます。
そうすると、この新製品は、設備購入初年度の売価が最も高くなります。
まずくないですか?
激しい競争にさらされているのであれば、価格優位に立つことは、戦略的に非常に重要な要素になるはずです。
ところが、定率法を採用しているばっかりに、最も重要なタイミングである新製品を市場に出した時の価格優位性が最も低くなり、期待していたほどのマーケットシェアが得られないという状況を招くのです。
価格を決定する販売企画部門が原価計算をしないで、経理部門が“制度会計に準拠して”原価計算を行い、それを「正しい」あるいは「実態と合っている」と思い込んで、売価を決めてしまうと、このような状況を招いてしまいます。
もちろん、新製品の売価を決定する販売企画部門などに、原価計算の知識や経験があれば、回避することはできるでしょう。
しかし、原価計算の知識や経験がなく、「実態と合った原価計算をしている」と信じるしかない販売企画部門では、これにマージンを乗せて売価を決定するしかありません。
制度会計にきちんと準拠した原価計算をしている経理部門の方々は、自分たちの業務の結果が、売価決定に影響を与えていることを、どれだけ自覚しているでしょうか。
ただただ、制度に準拠した経理業務をしていればよいという意識では、会社のいたるところで、このような間違った判断をさせることになってしまうと思います。
売価決定、特に新製品の売価の決定は、その企業の売り上げや利益に大きく影響することが多いわけですから、「価格決定プロセスと減価償却の関係」を、一度検証してみるのも良いかもしれませんね。
このコーナーでは読者のみなさまからのご質問を受け付けています。
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