サブ連結とは?日本企業の海外展開に欠かせないサブ連結(中間連結)の概要と課題・システム化のポイント
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日本企業の海外展開は拡大を続けており、経済産業省の「企業活動基本調査」によると、海外子会社を保有する日本企業数は2014年からの10年間で82%増加し、海外子会社数自体も13%増加しています。(1企業あたりの平均保有数は5.7社)海外子会社の増加に伴い、親会社がすべての拠点を直接管理する一元的管理は、物理的・時間的に限界を迎えています。そのため、地域統括会社や買収した中核会社に権限を委譲する分権管理体制が一般的となり、財務報告の仕組みとしても「サブ連結」を採用するケースが多くなってきました。本コンテンツでは、「サブ連結」の概要と課題、そして弊社がこれまでサブ連結対応のシステム化をする中で経験した主要な対応パターンを解説します。
サブ連結とは
サブ連結(中間連結)は、地域統括会社や買収した主要子会社(サブ連結親会社)が、自社配下の子会社(いわゆる孫会社)の財務データをまとめ、親会社に提出する前段階の連結財務諸表を作る仕組みです。 最近では、海外拠点を多く抱える企業ほど、サブ連結のシステム化について相談をいただくケースが多い印象があります。
サブ連結のメリット
サブ連結を導入することで、以下の効果が期待できます。
- 中間会社(サブ連結親会社)で一度データを集約できる
- 各サブ連結内での会計処理のルールや勘定科目の差異を吸収できる
- 中間会社(子会社)でデータを精査するため、親会社へ渡るデータの品質が安定しやすい
- グループ単位で責任分担が明確になり、ガバナンス強化につながる
特にグローバル展開が進む企業では、サブ連結は財務データの信頼性と透明性を向上させる基盤として重要な役割を担います。
サブ連結の課題
一方で、サブ連結を採用する組織だからこそ直面する課題も存在します。
- 中間会社での取りまとめ工程が増え、全体のリードタイムが長くなりやすい
- 修正が発生した際、親会社 → 中間会社 → 子会社と調整が多段階化する
- 組織階層が多いほど手戻りや情報伝達が複雑化する
- 経理業務担当者の運用負荷が増えやすい
こうした課題を解消するために、サブ連結のシステム化に際しては、事前の要件の整理や業務プロセス標準化・共通化の推進が極めて重要です。
[参考]サブ連結と対になる概念:フラット連結
フラット連結とは、中間会社を介さず、親会社がすべての子会社(孫会社)のデータを直接収集・連結処理する方式を指します。
◎フラット連結のメリット
- プロセスがシンプルで、迅速に連結処理しやすい
- 組織構造の影響を受けにくい
▲フラット連結のデメリット
- 子会社数が多い場合、親会社にデータの確認・調整負荷が集中する
- 親会社主導でのガバナンス(会計ルール・勘定科目体系・運用プロセスの標準化)の強化が不可欠
企業規模やグループ構造に応じて、サブ連結・フラット連結をどう使い分けるかが鍵となります。
サブ連結のシステム化パターン
サブ連結のメリットを享受しつつ、デメリットを低減して連結決算業務を実施するためには、システム化による対応が必須となります。一般的には、同一のシステムを導入することが運用面・コスト面で推奨されますが、親会社とサブ連結親会社(子会社)の関係性や企業グループの状況によって最適解は異なります。弊社はこれまで様々なパターンのサブ連結要件のシステム実装を支援してまいりました。ここからはその実績から主要なシステム導入パターンをご紹介します。
パターン① データ収集システム・連結会計システムを共有

- ◎データの透明性を確保(孫会社の業績や連結修正仕訳の明細までモニタリング可能)
- ◎孫会社担当者の報告負荷軽減(親会社・サブ連親会社への二重報告が不要)
- ◎インフラコストの低減
- ▲マスタ設定自由度が制限される可能性があるため、要件定義の慎重な検討が必要
- ▲ユーザー権限に柔軟性がない場合、ガバナンスや内部統制要件に非対応となる可能性
パターン② 連結会計システムを共有・収集パッケージは別ファイル

- ◎孫会社の報告負荷軽減
- ◎サブ連結親会社によるデータチェックが可能
- ◎インフラコスト低減
- ▲マスタ設定自由度が低下する可能性
- ▲パッケージメンテナンスが2種類必要
パターン③ 同一の連結会計システムだが、別インスタンスで運用

- ◎マスタメンテナンスの自由度が高い
- ◎サブ連結親会社による孫会社データチェックが可能
- ◎親会社のシステムメンテナンス工数削減
- ▲サブ連結側もシステムメンテナンスが必要
- ▲インフラコスト増加の可能性
サブ連結システム化事例:製造業A社
A社の状況
- M&Aにより海外企業B社を連結子会社として買収
- 従来システムではA社(親会社)から孫会社情報が見えず、ブラックボックス化
- B社配下の情報(相手先別明細など)は別管理で、チェック体制を構築する必要
- B社は現地ERPの一部モジュールで連結業務を実施していたが、キャッシュフロー作成は手作業
- B社のサブ連結結果を親会社連結へ連携する作業が手動で、業務負荷が増大
- その結果、A社(親会社)側の確認・検証負荷も増大
■ 課題解決方法
A社(親会社)が採用していた連結会計システム(STRAVIS)上に、B社のサブ連結業務環境を実装し、 収集パッケージ・マスタ・処理を共通化。これにより、STRAVISでB社のサブ連結とA社の全体連結を並行して実施する体制を構築。
(運用上の理由で一部手作業は意図的に継続)
■ 導入効果
- A社と共通の連結会計システムを採用することで、B社・孫会社の状況を可視化
- B社からA社へのサブ連結結果の連携を自動化し、B社の業務負荷を軽減(キャッシュフロー作成も自動化)
- A社のデータ確認・検証負荷も軽減され、全社連結業務とサブ連結確認作業を並行して実施可能に
最後に
サブ連結のシステム化方法は多岐にわたりますが、解決策は一律ではありません。各社の状況に合わせた要件整理・システム化が必要です。電通総研では、今回ご紹介した内容以外にも、様々なサブ連結に関するノウハウを保有しています。ご質問などがございましたら、ぜひお気軽にお問い合わせください。